動脈硬化の正体

二十歳をすぎれば多かれ少なかれ動脈硬化が起きると言われていますが,昨今は小学生でも動脈硬化が起きていることがあるとも言われています.

動脈硬化はなぜ起きるのか,みなさんはご存知でしょうか?コレステロールが体内に過剰にあるから血管にコレステロールが付着してなるというイメージをお持ちの方が多いかもしれません.長年使用した水道管の内側に水垢やサビが浮いたり付着するように,人間の動脈の内側にも加齢とともにそういう変化が起こるのだろうと考える人も多いかもしれません.違います!

 

動脈硬化は,傷がついた血管を修復した結果を見ているに過ぎないのです.

何らかの原因で血管内皮に傷がつくと,そこに血小板血栓が付着し,傷を保護し同時に修復材料であるコレステロールを運んでくるようにある種のシグナルを発します.この修理材料となるコレステロールは貯蔵場所である肝臓からLDL(Low Density Lipoprotein)という運び屋のトラックでLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)として末梢組織の必要な場所に運ばれることになっています.ちなみに修理で使用され余ったコレステロールは貯蔵庫である肝臓に戻すためにHDL(High Density Lipoprotein)という運び屋さんのトラックでHDLコレステロール(善玉コレステロール)として肝臓に戻されます.破壊された血管壁にはLDLコレステロールから分離されたコレステロールが付着堆積(コレステロールの沈着=プラーク)します.これがいわゆる「動脈硬化」といわれるものです

したがって,何度も血管に傷がつくことを繰り返されることにより,血管壁にコレステロールがどんどん沈着する現象が起こります.つまり,動脈硬化が進行することになります.

したがって,何度も血管に傷がつくことを繰り返されることにより,血管壁にコレステロールがどんどん沈着する現象が起こります.つまり,動脈硬化が進行することになります.

 

ここでお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが,動脈硬化は悪玉コレステロールであるLDLコレステロールが多いからなるわけではないということです.動脈硬化は何らかの原因で傷が着いた血管壁を修復した結果だということです.極論をすればどんなにLDLコレステロールが高くても,血管壁を一切傷つけることがなければ,動脈硬化による血管壁へのコレステロールの沈着(プラーク)は生じないということです.

 

動脈硬化は血管に付いた傷を修理した結果だということがお分かりいただけたと思います.それでは,血管に傷をつけるものとはどんなものがあるかを説明いたします.

代表例は,タバコ(喫煙),過剰な糖質,塩素などが挙げられます.次回はこれらの詳しいお話をしたいと思います.