脳卒中治療と生活習慣の改善

脳卒中の原因となると言われる高血圧や糖尿病は薬物による治療が必要だというのは,今や多くの人々の常識になっていますが,薬物治療はいわば火事の日を消すための消火活動そのものであり,火事の原因をなくすことが出来るわけではないということを認識する必要があります.

例えば,高血圧の原因は過剰な塩分の摂り過ぎや動脈硬化ですが,適正な塩分摂取量に抑えたとしても,動脈硬化が起こるような食生活を続ければ,知らぬ間に高血圧を引き起こします.動脈硬化は進行すると図のような血管の狭窄を引き起こし,その結果血管抵抗が高まり,スムーズに血液を送ることが難しくなります.そのままでは全身に血液が行き届かなくなり,脳を始めとした重要な臓器の機能に視床を来してしまうため,私達の体は自動的に血圧を上げて通りにくくなった血管でも血液が末梢組織まで送られるように順応することになります.これが高血圧の正体です.塩分の過剰摂取も高血圧の大きな原因ですが,塩分が過剰になる背景には,動脈硬化を引き起こす食生活が潜んでいます.

では,動脈硬化の原因は何なのか?コレステロールが過剰だから血管壁にコレステロールが沈着し,血管が狭くなるのか...?これは先日のブログ「動脈硬化の正体」でも説明したとおりですが,血管内皮が何らかの原因で傷つくことに尽きます.その三大原因がタバコ,過剰な糖質,塩素です.この他にも食品添加物やほとんどの化学物質は血管を破壊する効果を持っています.

タバコの害」でも触れましたが,タバコの煙に含まれる有毒物質は5000種類に及び,そのことごとくが血管内皮を傷害します.過剰な糖質は砂糖,米,そば,うどん,ラーメン,パスタなどの炭水化物,ジュースなども含まれますが,これらのものを必要以上に摂取することが動脈硬化の最大の原因になります.過剰な糖質はエネルギーとして使う以上にわれわれが体に入れてしまった結果,代謝して脂肪に変換し内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えることになります.残念ながら糖から脂肪に代謝する過程で,大量の活性酸素が発生し,この活性酸素が血管内皮を攻撃します.その結果動脈硬化を引き起こすことになります.さらに,水道水に含まれる塩素が加わると,血管内皮損傷はさらに重症化するため,塩素の摂取が危険なことの理由になります.

 

動脈硬化は呼んで字のごとく,「動脈が硬く変化する」という意味ですが,硬く変化するということは血管壁にコレステロールが沈着した結果,血管内腔が狭くなり,さらに本来の血管の柔軟性がなくなルトいことですが,血管の直径が1mm以下のいわゆる細動脈以下の太さの血管では,血管内腔が狭くなるほど図のようなプラークの沈着になることもありますが,多くは血管壁にコレステロールの沈着と血管壁の変性により血管自体が脆弱化し,破けやすくなります.特に頭蓋内の動脈は体血管とは異なり,弾性板が1層しかなく(体血管は2層)構造が脆弱にできているため,頭蓋内動脈では血管分岐部に動脈硬化の結果動脈瘤が発生しやすくなります.その動脈瘤が破裂することで起こるのがクモ膜下出血です.

 

つまり,動脈硬化は脳卒中をはじめとした血管病の原因であり,脳卒中だけでなく心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患の原因でもあるのです.したがって,動脈硬化を起こさない食生活と生活習慣が脳卒中予防の鍵となります.