日本脳卒中の外科学会 STROKE2018

3月15日から福岡で開催されたSTROKE2018 脳卒中の外科学会に来ています.今回私は一般講演で「過去5年間の札幌禎心会病院での脳動静脈奇形の治療成績」と高難易度脳動脈瘤に対する外科治療のシンポジウムで「巨大・血栓化膿動脈瘤に対する治療戦略」と題して講演をさせていただいました.

この5年間に札幌禎心会病院脳卒中センターでは20例の脳動静脈奇形の患者さんに外科的治療を行ってきました.

その結果95%の患者さんで予後良好な治療成績を収めることが出来ました.脳出血やクモ膜下出血で発症した破裂脳動静脈奇形の患者さんでは90%,未破裂脳動静脈奇形の患者さんでは,100%の患者さんが予後良好な結果となりました.

2014年に発表されたARUBA trialの結果,未破裂脳動静脈奇形では外科的治療を含む治療介入よりも内科的治療(経過観察)のほうが予後良好であったとされ,未破裂脳動静脈奇形の治療適応に世界的な変化が見られるようになってきましたが,当院での治療成績では未破裂例では予後良好例が100%であり,破裂例でも90%で予後良好だったことが,正確な術前診断と適切な術前塞栓術の併用と高度な手術技術の組み合わせによって,良い成績が得られることを示しました.

 

 

また本日午後に発表した「巨大・血栓化動脈瘤に対する治療戦略」では,通常のクリッピング術では治療不可能な巨大血栓化脳動脈瘤に対する血行再建術(バイパス術)を駆使した治療によって,良好な治療成績が得られることを示してまいりました.特に,当院で力を入れて行ってきた,橈骨動脈を使用したHigh flow bypassの治療成績と,一般的に難易度が高いとされる治療を安全確実に行うための方法を提示してまいりました.

血管内治療が発達し,開頭手術によらない侵襲の低い治療法が開発された現在でも,外科的手術でなければ治療できない,あるいは,最初に行われた治療では良い結果が得られなかったがために外科的治療でなければ対応できないなど,様々な患者さんの事情もあり,今後もますます私達脳神経外科医の役割は増えていくものと感じています.

一方,これまでは手術のみで治療可能であったものが,開頭術ではなく低侵襲に血管内から治療可能になったものについては,当院でも積極的に採用しております.

 

まだ,冬の札幌とは異なり,ここ福岡は春の陽気で,やはり北海道とは違う南国なのだと感じ直した3日間でした.